表題番号:1999A-560 日付:2002/02/25
研究課題感性品質の評価方法に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 棟近 雅彦
研究成果概要
 感性品質とは、人間のイメージによって計測される品質である。自動車を例にとれば、居住性がよい、走り感がよい、高級感があるなどの物理的な計測では得ることのできない消費者の欲求である。感性品質のよい製品を企画、開発するためには、これまでの機能、性能を重視した設計方法とは異なる、新たな技法が必要とされる。特に、感性品質を設計に反映するためには、それを物理特性に変換する必要がある。本研究では、感性品質を評価し、設計に結びつけるための方法論を確立することを目的とした。
 感性品質は人間がどのようなイメージを持っているかを調べる必要があるのでアンケート調査が計測の手段として用いられるが、どのような調査を行うべきかの方法論が確立されておらず、製品設計のための有効な情報が得られていない。本年度は、この課題を中心に研究を行った。
 一般にアンケート調査には形容詞対を並べたSD法が用いられる。本研究では、形容詞対を選択するための指針を得るために、過去の感性品質に関する事例の調査を行い、形容詞対の分類を行った。さらに、その分類と感性を解明する上で重要となる意味論および人間の認知知覚過程との関連を考察した。この結果をもとに、感性的なニーズを把握するための調査ではどのような情報を得るべきかを明確にし、SD法のアンケート調査に用いる評価用語選定の指針を提案した。
 本研究では、対象の持つ内包的意味を感性品質と定義し、SD法を用いた感性品質の調査とは、評価者がどのような認知・知覚過程に基づいて対象を評価したかを分析可能になる評価用語を用いて、対象の内包的意味を把握することと捉えた。提案した指針は、認知・知覚モデルの各階層から系統的に評価用語を得る方法である。提案法により、系統的な評価用語の抽出と、感性品質を考慮した製品設計のための有用な情報獲得が可能となる。