表題番号:1999A-551 日付:2002/02/25
研究課題情報理論に基づく学習の一般モデル・アルゴリズムの研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 松嶋 敏泰
研究成果概要
 本研究は学習を様々な研究領域について横断的に、情報の視点から考察していく。特に、情報の視点では情報理論と決定理論から学習における情報の流れを整理し、学習の目的や学習対象から学習者にどのように情報が与えれられるかのモデルについて考察する。
 学習問題は情報量の観点から簡単に説明がつき、対象から得られた情報から学習目的のために必要な情報を最大限抽出することが最適な学習法と位置づけられる。この最適な学習は情報理論のユニヴァーサル情報源符号化の限界やベイズ決定理論における最悪の事前分布の設定問題と密接な関係にあることも明らかになってきている。
 本研究では上記の今までの成果をふまえて、人工知能の機械学習の問題のみならず、さらに様々な領域の学習問題に対して情報理論や決定理論などを基礎とする情報の視点から横断的に考察を行っていくことになり、これまでに以下のような結果を得ている。
 各学習問題の目的、学習結果の評価基準、学習対象から与えられる情報の流れのモデル、学習アルゴリズム等を情報の視点で再整理し、その問題個別の特徴、全てに共通の性質などを明確にした。
 情報の視点から本質的には同等のアルゴリズムを抽出し、それを一般化することで学習の基本モデルとアルゴリズムを新たに構築した。このアルゴリズムの限界や性質について情報理論や決定理論をはじめ幾つかの視点から考察し、また、それぞれの個別の問題で有効なアルゴリズムについては、学習問題の条件から、そのアルゴリズムの有効性に効いている条件を情報の視点から分類整理し相互の関連を明らかにした。
 さらに、各分野の個々の学習問題に対して構築した基本モデルとアルゴリズムの適用を試み、さらにその問題の特殊性が分類整理された学習モデルの条件のどれと類似しているかを検討し、有効なアルゴリズムのそのままの適応やそれを拡張した新たなアルゴリズムの提案を行った。個々の問題において適用あるいは提案したアルゴリズムの性質についても理論面からの考察と、シミュレーションなど実験面からの考察も行った。