表題番号:1999A-545 日付:2006/03/28
研究課題部品循環性を向上させた製品開発のための評価システム
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 高田 祥三
研究成果概要
 資源・環境問題が深刻化する中で、生産活動における環境負荷や資源消費量を押さえながら、社会に必要な機能を提供する循環型生産の実現が強く求められている。ものを循環させる場合、なるべく内側のループをたどることが効率的と考えられるので、材料リサイクルよりも、製品・部品リユースの促進が望まれる。OA機器を代表とする多くの民生用製品に見られるように、頻繁にモデルチェンジや新製品開発が行われる場合は、部品の再使用性を高めることにより、複数世代の製品にわたって同一部品を使用できるようにすることが必要となる。本研究では、そのための部品寿命評価技術と分解作業時間推定技術の開発を行った。
 部品寿命評価に関しては、機構の劣化シミュレーションシステムの検討を行った。特に、摩耗の進行にともなって機構の挙動が変化し、その結果がまた摩耗の進行に影響するといった、劣化と挙動の相互作用が存在する機構の劣化進行過程を解析する目的で、撃力ベース手法に基づく摩耗シミュレーションシステムの構築を試みた。撃力ベース手法では、物体に働く力をすべて衝突力に置き換えてモデル化することにより、ガタのある機構のような複雑な運動の解析が統一的に行える。本研究では、2次元のシミュレータを試作し、軸受け摩耗の解析に適用した。この結果、偏摩耗の進行過程を明らかすることができた。
 また、製品設計段階で分解作業時間の推定を正確に行うことは、易分解性設計のために重要である。これまでにも、分解性評価手法については、種々の手法が検討されているが、そのほとんどは、部品特性やそれらの接続特性に基づいて分解性を評価するもので、特定の作業環境の基で作業時間そのものを推定するものではない。本研究では、コンピュータマネキンを用いて一連の分解作業をモデル化し、それより得られる作業中の人体各部の動きのデータを用いて、手を伸ばす、運ぶ、回す、圧す、つかむ、定置する、放す、引き離す、歩行といったMTMの標準要素作業を識別し、それらに標準要素作業時間を割り当てることにより、総作業時間を推定するシステムの開発を行った。