表題番号:1999A-537 日付:2002/02/25
研究課題次世代波長多重通信用マルチ導波光型光機能デバイスの高機能化・高性能化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 宇高 勝之
研究成果概要
 インターネット及び携帯電話の爆発的な普及により、そのバックボーンである光ファイバ通信の一層の大容量化並びにネットワークの柔軟性・拡張性向上の要求が高まっている。そのような次世代高度光ネットワークを実現する上で、高密度波長多重通信方式が有望視されており、その中でキーデバイスと考えられる光スイッチや波長変換素子、さらに波長選択フィルタなどの光機能デバイスの高機能化・高性能化の検討を行った。その際、コンパクトでかつ機能性に優れたマルチ導波光エレメントである多モード干渉導波路を用いた。
 まず光スイッチに関しては、これまでに提案し検討を進めてきた多モード干渉導波路の中央部分の長手方向に屈折率変調領域を設けたInGaAsP/InP多モード干渉型光スイッチ(MIPS)について、注入電流の広がり、すなわち変調領域のぼやけを低減するために上部クラッド層厚を薄くすることにより、2×2構造によりいずれのポートからの光入力においても約-10dB以下という良好なクロストーク特性を実現した。また解析により約70nmの波長範囲にわたり偏光無依存な光スイッチングが可能なことを示した。さらに多ポート化への拡張が可能な部分屈折率変調多モード干渉型光スイッチ(MIPS-P)を考案し、解析により3×3構造においてすべてポート間の低損失、低クロストークなスイッチング動作のみならず2ポートからの3dB光分岐動作という高機能性を有することを示した。また、部分屈折率変調領域を明確化するために溝構造を導入して素子を作製し、基本的なその効果を確認した。
 波長変換素子については、多モード干渉導波路に波長1.5?m帯組成の活性領域を導入した2×2構造InGaAsP/InP多モード干渉光増幅器において、相互利得変調効果を利用したデバイスについて検討を行った。その結果、電流注入により約7dBの純利得並びに約23dBのオンーオフ比を得た。また約-25dBmという低パワーにより利得飽和を確認するともに、2nm離れた2波長により相互利得変調効果を達成した。これらの結果により波長変換動作の見通しが得られた。