表題番号:1999A-532 日付:2002/02/25
研究課題細胞内における調節タンパク質機能解析のためのmRNA発現制御技術の検討
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 石渡 信一
研究成果概要
 時々刻々変化するmRNAの発現を細胞機能と対応づけるために、単一細胞レベルで発現(導入)したmRNAと、細胞状態(蛍光プローブなどで検出)を同時に時系列解析し、mRNAに由来する調節タンパク質の細胞機能を解明するための新たな手法を提案することを企図し、この研究課題に取り組んだ。以下に、試みたことを箇条書きにする。
 Caged遺伝子の合成:Caged mRNAを作成するために、Caged DNAの調製を試みた。そこで、Cagedのための一つの方策として、DNA塩基のアミノ基をDMNBB(4,5-dimethoxy-2-nitrobenzyl bromide)で化学修飾し、DNAの複製機能を一旦失活させ、それを紫外線照射によって再活性化する、という方針で不活性化DNAの合成を試みた。一時はPCR法によって不活性化DNAの合成が確認できたと思われたが、再現性に問題があり、結局DNA塩基のアミノが化学修飾に対して活性が高くない、という結論に達した。この間、Caged遺伝子を調製したという報告が数編発表される状況になったので、我々は方針を転換し、目的の研究課題の鍵となる、新しいタイプのDNAチップや細胞操作開発、それに、細胞機能解析のための新手法の開発に力を入れることとした。遺伝子の固定化と選択的回収技術:これまでの研究を推進し、Cr基盤上へのDNA固定化法と、赤外レーザー照射による選択的な回収法を確立した。その結果、その方法の詳細を論文として公表することができた。GFP-アクチンの心筋培養細胞内発現:ニワトリの未分化筋芽細胞・マウス筋芽細胞株C2C12へ、蛍光タンパク質GFPをfusionしたアクチンのプラスミドを導入すること、そしてその未分化細胞を筋管へと分化させることを試みた。その過程でGFP-アクチンがどのように細胞骨格や筋原線維収縮系に組み込まれていくかを、共焦点蛍光顕微鏡を用いて解析している。