表題番号:1999A-504 日付:2002/11/28
研究課題経済活動における協力の形成と維持に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 教授 船木 由喜彦
研究成果概要
 経済活動における個人主体間の協力形成およびその維持の方法について2年間継続して研究を行った。1999年度は主として理論的モデルを構築し、さらに2000年度初頭にかけてゲーム理論による分析と研究を進めた。その成果は個人研究および共同研究として論文にまとめられ、その一つは2000年度中に公表された。他の一つは2001年度中に国際学術雑誌に掲載されることが決まっている。なお、これらの研究の一部は2000年中に「ORとゲーム理論の経済学的応用に関する国際会議(インド、チェンナイ)」、および、「ゲーム理論国際学会世界大会(スペイン、ビルバオ)」において報告された。また、研究の途上、多くの国内のセミナー、研究集会等に参加し、他の研究者と交流し、この問題に関する貴重な意見交換を行った。早稲田大学でも定期的にセミナーを開催し、関係する理論家を招き、討論を通じてこの研究に関する多くの有用な知見を得ることが出来た。
 この研究は理論的な研究を下に経済実験を行うことが一つの主眼であり、2000年度はこの実験の計画を進めた。情報の管理を厳格にし、個人相対間の心理的要素を極力排除するため、ネットワークによる実験を行うことを計画し、他大学の関連研究者および関連施設を訪ね、また、実験経済学の学会に参加し専門家と意見を交換し、その上で実験モデルの構築に完成した。その後、実験をネットワーク上で実行するためのソフト開発について業者と何度も会合をもったが開発費用条件で折り合わず、別途、実験プログラムソフト開発の専門家を捜すこととした。2000年度後半に新たな開発者に当該ソフト開発を依頼することが出来、2001年度末に完成した。開発の途中で何度か予備的な実験を行い、十分な機能を持つことが確認され、また、協力の形成に関するいくつかの新たな興味深い発見も得られた。しかしながら、完成が年度末にずれ込んだため、十分に満足のいく成果が得られず、まだ、完全には成果をまとめることができていないのが現状である。この完成した実験プログラムを用い、さらなる、実験を行い、2001年度中にその成果をまとめ、2002年度内に学術雑誌などに公表する計画である。