表題番号:1999A-300
日付:2002/02/25
研究課題事象関連電位による外国人日本語学習者の脳の言語処理過程の研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 日本語研究教育センター | 専任講師 | 宮崎 里司 |
- 研究成果概要
- 今年度は、外国人日本語学習者と日本語母語話者を被験者にして得られた、脳における漢字処理過程で現れた事象関連電位(P300)を比較した実証研究を行った。その結果、日本語学習者と日本語母語話者とでは、漢字判読の情報処理過程が異なることがわかり、ERPの言語習得研究への応用の可能性が示唆された。その研究結果をもとに、平成11年5月14日には、第48回日本臨床衛生検査学会にて、「外国人日本語学習者の言語処理とERP」と題した共同研究発表を行った。また、平成11年7月10日には、「生理心理学・精神生理学研究会」(代表山崎勝男教授)にて、「外国人日本語話者と日本語母語話者の脳内言語情報処理過程の比較」と題したセミナーの発表を行った。さらに、平成11年11月11日に開かれた、第29回日本脳波・筋電図学会学術大会にて、「ERPによる外国人日本語学習者の言語処理機能の検討」、「外国人日本語学習者と日本語母語話者の脳内言語処理過程の比較」を共同発表した。こうした一連の発表をもとに、「日本語学習者の脳の言語処理過程:漢字の表記逸脱刺激による事象関連電位(ERP)分析の試み」と題した論文にまとめ、日本語研究教育センターの『講座日本語教育』35号に投稿し、査読の結果掲載された。今回のパイロット研究を今後発展させていくために、より適切なタスクに基づいた実験を重ね、精度の高い結果を導き出していく必要性がある。そのために、さらなる研究助成を求めていきたい。