表題番号:1999A-274 日付:2002/05/07
研究課題蛋白質以外の生体分子にモデルフリーメソッドを適用する方法の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 中島 康
研究成果概要
 モデルフリーメソッドは、タンパク質分子のドメイン解析を行なうために、基準振動解析から得られたデータを分析する方法である。本課題では、その方法を、タンパク質以外の分子に応用し、分子のクラスター構造の予測などに適用できるかを調べた。具体的には次のような手順で検討した。
①有機色素と金属、ポリチオヘンと金属等について、予測される集合構造を設定する。
②基準振動解析を行ない、回転ベクトルや、その相関を調べる。
③実験データとの比較から、①の妥当性を検証する。
④妥当とされた集合構造の電子状態を、分子軌道法によって調べる。
⑤XPSやUPSの実験などから、計算で得られた電子構造の妥当性を調べる。
 検討の結果、ポリチオヘンについては、低波数のドメイン構造を持つことが計算により予測され、その予測はすべての実験結果を合理的に解釈することを可能にした。しかしながら、有機色素や金属との集合体に関しては、必ずしも、良い結果を得られなかった。基準振動解析のパラメータ等に問題があると思われるので、金属と有機物の集合体を計算するために、より適当なパラメータを検討している。