表題番号:1999A-259 日付:2002/02/25
研究課題高齢者の健康増進を目的としたウォーキングプログラムの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 助教授 中村 好男
研究成果概要
 従来から一般に行われてきたウォーキングの指導は、「歩幅を大きく/楽に速く」歩くことを目標として行われてきたが、歩幅・歩行速度の低い高齢者を対象とする場合には従来の基準とは異なる目標ならびに指導法が必要になるのではないかと考えられる。そこで、本研究では、高齢者に特有の諸問題に配慮した様々なインストラクションを考案し、その指導実践の過程でそれぞれの有効性を探ることによって、歩行能力の低い高齢者を対象としたウォーキング指導法を開発しようとした。1999年度「早稲田大学スポーツフィットネスプログラム」の中の「高齢者体力つくり教室」(対象年齢は60~75歳)の参加者37名(68.6±3.8歳)を対象として、同教室の一部である「ウォーキング教室」の場を利用して様々なインストラクション技法を試行し、その評価を行いながら高齢者に適したウォーキングプログラムを開発した。その結果、高齢者のためのウォーキングプログラムにおいては、ストレッチや軽体操に費やす時間を多くして筋機能の向上を目指すとともに、歩行運動の動作の実施に目標を持たせながら歩くことを楽しく感じさせるような配慮が必要となることが再確認された。また、初期高齢者においても、ウォーキング指導に対する「きつさ」の感じ方ならびにプログラムに対する要望は様々であり、その多様性に配慮した指導が最も重要であることがわかった。今回の成果を基盤として、今後、さらに歩行能力の低下した高齢者に歩く喜びを感じられるようにするプログラムが確立するためには、身体的にも意欲の上でも「歩くこと」に消極的になっている高齢者に対して、どのようにアプローチをすべきかを検討することが課題として残された。