表題番号:1999A-251 日付:2002/02/25
研究課題困難課題克服に対する自己決定性の効果
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 教授 青柳 肇
研究成果概要
 本研究は、従来独立して研究されてきた「学習性無力感」と「内発的動機づけ」の研究を統合する一環として行なわれた。
 自己決定はその前提に、課題の興味度がある。すなわち、興味度の高い課題は自己決定されやすく、興味度の低い課題は自己決定されにくい。そこで本研究では、興味度を自己決定のひとつの指標とすることにした。興味度は、その課題への興味(課題興味)と課題一般に興味度を持ちやすさ(特性興味)が考えられる。本研究では、容易課題と困難課題に直面した場合、各々の興味度が動機づけ行動にどのような影響を与えるかをパス解析により検討した。(方法)被験者:大学生男女計218名。手続き:①一般興味度尺度の施行 ②課題興味の測定:実験課題(Words Puzzle)のミニュチュア版を実施。直後に課題への興味度を測定した。③実験課題:被験者を容易課題群と困難課題群の二条件に分け、Words Puzzleを行なわせた。④課題終了後、「主観的成功感」「努力感」「課題の重要度」「再挑戦」「2度目の課題興味」を質問紙により尋ねた。
(結果)両条件間で興味度(課題および一般)に有意な違いは見られなかった。したがって、課題に対する興味、一般興味とも差がなかったことになる。次に、各条件で一般興味の高群と低群に分け、課題終了後の遂行数、課題興味、成功感、努力感、再挑戦の違いを分散分析した。その結果、不可能条件では、課題興味、成功感、努力感、再挑戦に高群が低群より有意に高いことが見られた。また、解決可能条件では、遂行数が有意に、成功感に有意傾向が見られ、各々高群が高かった。また、パス解析によって、不可能条件では、一般興味と課題興味が再挑戦に直接かかわり、同時に課題興味は課題の重要度を媒介して間接に再挑戦に関わっていた。可能条件では、それ以外に努力感が関わることが見られた。