表題番号:1999A-238
日付:2002/02/25
研究課題シェリング哲学における啓示と神話の研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 社会科学部 | 教授 | 那須 政玄 |
- 研究成果概要
- シェリングはフィヒテを、またヘーゲルはシェリングを「乗り越えながら」彼ら独自の哲学を提示し、最終的にヘーゲルにおいてドイツ観念論は完成に至る、と哲学史では考えられている。しかし、フィヒテとシェリングの晩年の著述を見れば、この二人は、ヘーゲルと同じ立場に立っており、三人の間には決定的な差異は認められない。つまり三人に共通の立場とは、「哲学は唯一絶対的なものへの問いによってのみ規定される」ということであり、それは弁証法的に絶対者が自分自身を規定するという形によってである。
私は、この三人に共通の立場を、シェリングの後期の立場、すなわち「啓示と神話」の中に見ていこうとするものである。つまり、「啓示」によって近代の枠組みを超える理念を模索し、また「神話」によって新しい枠組みの構造を考えようと、考えている。
そのために、まずシェリングの後期の『「啓示の哲学」講義』(全83講義)の翻訳に着手し、1999年度末までに第18講義まで訳出し印刷に付した。この訳出の仕事は、山本冬樹氏との共訳であり、訳出の過程で二人で討議したことは、この課題遂行に大変役に立った。
今年度は私が役職に就いたため多忙をきわめ予定していた仕事を行うことができなかった。
来年度からは、翻訳作業と並行して翻訳の成果をもとに、逐次論文を出していこうと思っている。2000年度には、「意志の問題」をシェリングから考えていこうと思っている。