表題番号:1999A-190 日付:2002/02/25
研究課題変分的アプローチによる非線型微分方程式の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 田中 和永
研究成果概要
 変分的手法により非線型楕円型方程式の解の存在問題、Hamilton系の研究を行った。特に本年度はRNにおける非線型楕円形方程式の正値解の存在、多重度に関して進歩があった。
 具体的にはRNにおける非線型楕円型方程式
-Δu+u=a(x)up+f(x) in RN         (*)
正値解の存在、多重度を扱った。特に解が方程式に非常にデリケートに依存していることを示す次のような存在結果を得た。係数a(x)はコンパクト集合を除いて1、コンパクト集合上で0と1の間の値をとる連続関数とする。このとき非常に小さい、しかし0でない正の関数f(x)に対して、(*)は少なくとも4つの正値解をもつ。そのうち2つの解はf(x)に連続的に依存しf(x)→0すると-Δu+u=a(x)upの解に収束する。しかし他のふたつはf(x)→0としても-Δu+u=a(x)upの解に強収束せず、無限遠にエネルギーの中心部が平行移動してゆく解ω(・-yf)(|yf|→∞ as f(x)→0)としてのプロファイルをもつ。(Calculus of Variations and Partial Differential Equationsより出版予定)。通常、微分方程式の研究においては方程式の係数等に解が連続的に依存する場合が研究されているが、(*)のような簡単な方程式であっても微小な摂動f(x)により不連続な依存性が現れることを示しており、興味深いと思われる。また同様のアイデアに基づいたもう一編の論文では、より一般的な非線型項g(x,u)を扱いCao、Jeanjean、Hirano、Zhouらの結果を拡張している。(Nonlinear Analysis:T.M.A.より出版予定)。
 またHamilton系に関してはmulti-bump solutionと呼ばれる記号力学系に対応した複雑な解軌道の構成をNehari多様体を用いた変分的な方法により行った。