表題番号:1999A-187 日付:2002/02/25
研究課題等質射影多様体の Lie 環論的, および, 代数幾何的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 楫 元
研究成果概要
 この数年間、等質射影多様体、特に、随伴多様体 (すなわち、複素単純代数群の随伴表現から得られる等質射影多様体) の研究を行っている。これは、H. Freudenthal の提唱するところの meta-symplectic geometry に相当する多様体であるが、symplectic geometry に相当する多様体として現れる等質射影多様体は、フロイデンタール多様体と呼ばれている。随伴多様体の研究を進めるにあたり、このフロイデンタール多様体を調べることが重要であることが、最近の研究から明らかになってきた。実際、1998年度の研究により、Lie環の接触型次数分解の次数1部分の定める部分空間と随伴多様体の交わりとしてフロイデンタール多様体が現れ、また、随伴多様体の secant variety の軌道分解を与える際にもこのフロイデンタール多様体、および、それを含む射影空間の考察が非常に重要であった。
 そこで、1999年度は、このフロイデンタール多様体について詳しく研究を行った。その結果、フロイデンタール多様体の持ついくつかの顕著な射影幾何的性質を、symplectic triple system の理論の言葉で記述・証明することに成功した。これは、福井大学工学部、保倉理美氏との共同研究の成果である。
 一方、射影幾何学的に重要な多様体のクラスのひとつに projective varieties with one apparent double point がある。1999年度は、多様体が等質の場合に、このクラスの多様体の分類を与えた。