表題番号:1999A-183 日付:2002/02/25
研究課題魚眼石から含水層状メタロアルミノ珪酸塩素材への転換と利用に関する基礎的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 山﨑 淳司
研究成果概要
 魚眼石は天然に産する層状シリケート鉱物であり、希塩酸処理により含水層状シリケート(H-AP)、塩化アルミニウム溶液処理により層状アルミノシリケート(Al-AP)が調製できることをすでに報告している。本研究ではH-AP構造中にアルミニウムを導入することによる固体酸活性の発現について、吸着させたn-オクチルアミン(n-OA)の熱分解挙動により検討し、さらに適当なAl-AP構造内へ遷移金属イオンの導入を行った。(1)吸着分子分解の速度論解析について:Al-APの構造層間に吸着させたn-OAは約400℃までの加熱によりHofmann分解を生ずることが分かった。この分解反応について、MSとDTGデータを用いた速度論解析を行ったところ、その活性化エネルギーEは170~210kJ・mol-1と求められた。ここでAl-APのAl/Si比の増大に伴いE値は増大する傾向を示し、またFTIR測定でn-OA吸着サイトの酸強度が低下する傾向を示した。この反応で n-OAやその分解物の拡散機構は、基本的に骨格積層の側方に向う2次の拡散律速であるが、Al/Si比が小さくなるとシリケート層の八員環を通した積層方向への拡散の影響が大きくなることが示された。(2)各種遷移金属の導入について:Ni,Co,Cu及びZnのエチレンジアミン錯体(Me(en)32+)溶液で、Al/Si比の大きいAl-APを室温以下で処理した。その結果、0.5M以上の高濃度溶液でエチレンジアミンを添加した処理により、粉末X線回折測定で底面間隔の拡大が認められ、Al-AP層間へのインターカレーションが示唆された。13C-NMRスペクトル測定結果より、導入された層間物質は各金属の錯体であり、分光学的測定結果から、構造中での各金属錯体の状態は、CuのみMe(en)22+に変化するが、他の金属錯体は(Me(en)32+)に近い状態で存在する事が示された。