表題番号:1999A-182 日付:2002/02/25
研究課題デジタル信号処理プロセッサを対象とした高位合成手法
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 柳澤 政生
研究成果概要
 本研究では、ハードウェア/ソフトウェア協調合成手法、ならびに、高位合成手法に焦点をあてて研究を行った。以下では、それぞれについて概要を示す。
1.ハードウェア/ソフトウェア協調合成手法
 ディジタル信号処理用プロセッサを対象としたハードウェア/ソフトウェア協調合成アルゴリズムに関する研究を行った。ハードウェア/ソフトウェア協調合成とは、システムVLSI全体において、ハードウェアとして実現する部分とソフトウェアとして実現する部分を決定する問題であり、システムVLSI全体の性能、ひいては、このようなシステムVLSIを包含する機器(例えば情報携帯端末等)の価格、面積、性能を決定するものである。本研究で想定するプロセッサは、内部にアドレッシングユニット、ハードウェアルーピング機構、ハーバードアーキテクチャ等に代表される専用ハードウェアユニットを持ち、これらをどのように設計し有機的に組み合わせていくか、がプロセッサ性能を引き出す鍵となる。昨年度より、このテーマの研究を行い、ディジタルプロセッサコアを対象としたアルゴリズムの基本戦略を構築した。本年度は2種類のレジスタを持った協調合成アルゴリズムに拡張するとともに、そのために必要となる、プロセッサコアの面積・遅延見積り手法、ならびに、ハードウェア/ソフトウェア分割手法を提案し、その有効性を示した。
2.高位合成手法
 ディジタル信号処理のハードウェアは通常、複雑なデータパスによって実現される。本研究室では、C言語のサブセットによって記述された動作記述を入力とし、レジスタトランスファ(RT:状態遷移図)レベルのハードウェア記述(HDL: Hardware Description Language)を合成する高位合成システムを提案している。本年度は、このシステムの構成要素の1つとなる、最適解を保証するリソースバインディング手法を提案し、その有効性を示した。また、制御処理を主体とするハードウェアを対象とした高位合成システムの開発を行った。これは、画像符号化・復号化、プロトコル処理、あるいは、暗号処理といった、ビット処理もしくは条件分岐処理から構成されるアプリケーションプログラムをターゲットとしている。本研究では、このシステムの基本的戦略をたてるとともに、ハードウェア記述の自動生成手法、ならびに、面積・時間最適化手法を提案し、その有効性を示した。