表題番号:1999A-172 日付:2002/02/25
研究課題免震機構を複合した制震建築物に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 西谷 章
研究成果概要
 近年、建築構造の世界は大きな転換期を迎えており、ここ10年間の免震、制震構造の本格的な実用化を契機として、従来の枠組みを超えた新たな耐震設計の提案が行われている。制震システムは、既に非常に多くの装置が開発されおり、今後これらの装置が複合されることが予想される。本研究では、免震機構を利用した制震システムとして、構造物に免震層を組み込み、その層より上層にTMD,AMDの機能をもたせるシステムおよび免震積層ゴム支承を利用した新たな制御システムの設計法を提案し、コンピュータシミュレーションによりその有効性を確認した。
1.中間層免震によるシステム
 本システムでは、構造物の中間階に柔らかく、変形能力の大きな免震層を設け、これより上層をTMDあるいはAMDとして機能させる。この制御システムにより、従来型の付加マス方式に比べ、マス比が増大し効果的な制御を行うことができる。本研究では、準最適制御理論による以下のような特徴をもつ設計手法を示した。
(i)構造物を低次元化モデルで表すことにより、少ない計算量で最適化を行える。
(ii)免震層より下層部の応答低減はもちろん、動吸振器としての役割を担う上層部分の応答低減も行える。
2.積層ゴム支承を用いたセミアクティブ制御システム
 本手法は、制御機構として、上下を積層ゴムで挟まれた付加マスを考え、この付加マスの特性をセミアクティブ制御により変化させることで、エネルギ吸収を行うもので、効果的な構造物の応答低減が可能となる。