表題番号:1999A-166 日付:2002/02/25
研究課題4次元共形平坦多様体のスピノール解析と共形場理論への応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 郡 敏昭
研究成果概要
1.4次元空間のディラック作用素のゼロモードスピノールについて、古典的な複素関数論と類似の理論が展開できることを示した。すなわち、コーシーの積分公式、ローラン展開、4次元球面上の留数定理を示した。また、複素関数論が1次元複素多様体(リーマン面)に拡張されるごとく、我々の理論も4次元共形平坦多様体の上で展開されることを示した。
この結果は論文として投稿中である。また、ウセダム(ドイツ)におけるデイラック作用素の会議で99年3月に、メキシコの Ixtapo-Zihuatanejo でのInternational conference on Clifford algebra において7月にこの結果を講演した。
2.1で述べた研究に続いて、4次元共形平坦多様体の上のディラック作用素のゼロモードスピノールのコホモロジーを調べた。開4次元共形平坦多様体に対しては、1次以上のコホモロジーがすべて消えることを示した。
これはリーマン面がシュタイン多様体であるという古典的結果に対応してる。とくに開4次元共形平坦多様体上ではディラック方程式の大域解の存在が示せたことになる。また、ルンゲ近似定理に対応する結果およびセールの双対定理に対応した<ゼロモードスピノールの空間の双対は反ゼロモードスピノールの台がコンパクトな1次コホモロジーになる>という結果も得られた。
この結果を、9月にワルシャワのバナッハ研究所での散乱理論およびディラック作用素の研究集会、および12月に、コペンハーゲン大学数学研究所の解析セミナーとオーデンセ大学数学コロキュームにおいて講演した。