表題番号:1999A-161 日付:2002/02/25
研究課題成長商品の買い替え時点モデルの構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 大野 高裕
研究成果概要
 消費者の多様なニーズに応じた各企業の商品多様化・差別化戦略は、消費者選択の幅を広げて豊かな消費生活を招いた。反面、商品多様化・差別化というのは、革新商品開発より同一商品カテゴリ内のニューブランド(ニューモデル)の爆発的増加という傾向にもつながる。この傾向は商品寿命周期(Product Life Cycle)を短縮させ、従来の消費者の商品寿命概念(物理的寿命の概念)を新しい商品寿命概念(飽きられたり旧くなったりして、使われなくなるまでの期間)に変化させ、消費者の買替え時点とブランド・スイッチング行動にも影響を与えていると思われる。それは従来のように成熟商品だけでなく、成長過程にある商品についても考えられることである。
 そこで本研究では、耐久消費財を使っている消費者はいつ買替えをするか、なぜ買替えをするか、どんなメーカーのどんなブランドに買替えをするかという疑問に答えるモデルを構築することを目的とした。
 この研究の成果としては、従来研究ではできなかった、耐久消費財を使っている消費者のダイナミックな買替え行動プロセスをハザードレートやスイッチング・コストを導入し、現在使用している耐久消費財も比較対象として含んだ多項ロジットによるモデルの構築が挙げられる。このモデルではハザードレート、スイッチング・コスト及びマーケティング変数の時間的変化を考慮することによって、回帰モデルでは分析できなかった、非集計レベルの買替え時点やブランド・スイッチング確率及び各マーケティング変数の重要度が求められることが特徴となっている。以上のように、本研究のモデルは、各企業がニューブランドを市場に投入するタイミングの決定、マーケティング変数の調整による買替えの時点の管理、あるいは競争ブランドの確認と競争構造の把握などに有用なツールになると考えられる。