表題番号:1999A-155 日付:2002/02/25
研究課題新規な白金(IV) ウェルナー錯体の合成による配位子置換反応機構の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 石原 浩二
研究成果概要
 単座配位子が6配位した八面体型の白金(IV)ウェルナー錯体は、古くから数多く合成され、反応が調べられてきているが、これらの錯体は全て平面型4配位の白金(II)錯体へ還元され易いため、反応の研究は酸化還元反応や、触媒反応に限られ、配位子置換反応に関する研究はほとんど行われてきていない。本研究では、還元され難い新規な白金(IV)ウェルナー錯体を合成し、置換反応の機構を解明することを目的として研究を行ったが、現在まで、以下のような成果が得られている。
 4座配位子や5座配位子のような多座配位子を用いて、平面型白金(II)錯体に還元され難い白金(IV)ウェルナー錯体の合成を試みているが、現時点ではまだ成功していない。
 これまで、還元され難い非ウェルナー錯体であるメチル白金(IV)錯体の反応機構の研究を行うことにより、メチル基のトランス位の配位子の置換反応は、非配位性溶媒中では、配位数の減少した配位不飽和な中間体を経て反応が進行することを明らかにした。しかし、配位性の溶媒中においては、よく知られた白金(II)ウェルナー錯体と同様の会合的機構で進行する可能性を否定できない。そこで、数種の水溶性のメチル白金(IV)錯体を合成し、速度論的研究を行っている。
 また、メチル白金(IV)錯体において、トランス効果の大きいメチル基がトランス位にある場合とない場合とでは反応性に違いがあることが予想され、後者の場合には、本研究の目的であるウェルナー型白金(IV)錯体の反応機構と類似の反応機構が予想される。そのため、目的とするウェルナー錯体よりは合成が容易であると考えられる環状3座配位子を有するジメチル白金(IV)錯体を設計し、合成を行っている。