表題番号:1999A-134 日付:2002/02/25
研究課題『D.H.ロレンス事典』編纂、出版に伴なう諸研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 教授 木村 公一
研究成果概要
 今回の研究課題を2001年の『D.H.ロレンス事典』(編纂)出版に向けての諸研究としているが、主としてこれまでの年代別主要参考文献(単行本)の解読と解説作成を始めとして、参考資料(様々な雑誌に掲載された記事)の収集と整理、ひいてはそれらを収容する参考書目の作成にまで力を注いできた。D・H・ロレンス全作品の解説作成と、それに伴う主要参考文献の解読・整理作業は今年の八月中におおむね完了する予定ではある。ただし、参考資料の収集に関して現在、苦労していることは、特に1990年代に入って、伝記的・歴史的・心理学的・環境学的・教育学的側面からの雑誌記事が目立って増えていることから、それらの適切な評価と整理方法である。それと、これまでどの研究書でもあまり取り上げなかった今日的な領域として、ロレンスとマス・メディア、特に映画界との関わりについての参考資料の発掘である。ロレンス自身の映画に対する興味はとても強く、いくつかの映画評論を残していることは言うまでもないが、ロレンスの作品は今日でも、特に本国にあっては映画、TV、Video、CD、ラジオドラマなどを通じて再製され、その度にそのドラフト、並びにロレンスと映画を扱った諸評論が相次いで話題となっていることから、ロレンスの今日的研究の参考書目にリストアップする必要があろう。いずれにしても、ロレンスとマス・メディアに関する資料収集・整理作業が終われば、一応は峠を越したようなものだが、現代のイギリス文学世界をジョイスと二分する作家の事典の出版作業にはまだまだ難問が待ち構えていそうである。ところで、今回の研究課題の成果として、ロレンスと心理学に関連した論文を9月発行の本学部の紀要論文集に掲載するので(現在、初校を校正中)、完成次第、それを提出することになる。