表題番号:1999A-037 日付:2002/02/25
研究課題組織犯罪・経済犯罪における個人帰責と集団帰責
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 高橋 則夫
研究成果概要
 1999年度は、集団帰責の基礎となる共犯論の構造について検討を加えた。1999年5月に行われた日本刑法学会において、「共犯論と犯罪体系論」と題して報告を行った。これについては、下記の研究成果として公表した。経済犯罪関係については、『判例経済刑法大系』(全3巻)(日本評論社)の編集作業を行い、近日中に刊行の運びとなった。本書は、類書がないだけに、貴重な判例解説集であり、実務や学界に与える影響は大きいものと推察できる。さらに、本年4月20日から25日まで、韓国において「ドイツ・日本・韓国・刑法コロキウム」が開催されるが、そこにおいて、「組織的支配に基づく犯罪における正犯と共犯」と題して、報告を担当することになっている。集団的プロセスから生じた不法をどのように個人に帰責するかという問題について、諸外国においてはわが国と異なって処理されている。わが国では、組織的犯罪処罰法が制定されたが、いまだ不十分といわざるを得ない。また、法人処罰の問題については、立法の可能性は低い状況でもある。このような中で、刑法における集団帰責と個人帰責の問題はさらに検討していなければならない課題といえよう。