表題番号:1999A-002 日付:2002/02/25
研究課題先物プレミアム・パズルの理論的・実証的検討
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 教授 秋葉 弘哉
研究成果概要
 先物プレミアム・パズルについては、大別して(1)静学的なCAPMを援用する分析、(2)利子率の期間構造理論を援用する分析、そして(3)消費ベースあるいは貨幣ベースの一般均衡分析を援用する分析の3つがあるように思われる。(1)や(2)の古くからの分析手法に加えて、(3)は理論的にも難解で、分析は十分に行われているとはいえない状況にあります。私の研究においては、比較的最近の(3)の接近方法を手がかりにして、先物プレミアムに観察される非線形性を説明しようとするものであります。
 現在までのところ、異時点間の個人の最適化問題に不確実性を導入し、それを回避するために予算制約条件に貨幣残高の保有も認めるモデルを考えております。開放経済を前提として、各国民は外国の通貨を外国為替の手段として保有することが出来るものとして定式化を行っております。その結果、ある程度のところまでは意味のありそうな最適解が得られるように思います。ただし、(1)その解の開放経済で経済学的に意味するところ、更に(2)そこから得られる経済学的インプリケーション、また(3)これを拡張して、少し応用問題を取り込むことが出来ないか等に関して、更に研究中であります。また、本研究を通じて、先物為替レートとは、直物為替レートとの比較において、一体どのようなものであるのかという、より基本的な問題に対する解答も見えてきたように思います。今までの結論では、やはりマネタリーな要因で決定されるような性質のものという結論を得ておりますが、もう少し本研究を継続して、更にもう一歩一般化したモデルで、これまでに得られた結果を再確認してから、さらに分析を進めたいと考えております。