表題番号:1998B-527 日付:2002/02/25
研究課題循環再使用製品のロジスティクス
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 森戸 晋
(連携研究者) 理工学部 教授 大成 尚
(連携研究者) 理工学部 教授 高田 祥三
(連携研究者) 理工学部 教授 棟近 雅彦
研究成果概要
 主に以下の4つの観点を中心に、循環再使用製品のロジスティクスに関して研究を行った(括弧内は、主たる研究者):
レンタル製品の拠点間融通によりリスクプーリングリング(森戸): 循環型製品の一種と考えられるレンタル製品を取り上げ、複数拠点で営業を行うレンタル事業を想定し、拠点間の製品融通によって、どれだけの品切れリスク低減効果(サービス率の向上効果)が期待できるかを分析した。また、輸送需要の偏りによって発生するパレットやトラック等の輸送媒体の偏在を解消するための適正方策を数理計画技法を用いて明らかにした。
再使用性の評価とライフサイクルモデル(大成): 新製品開発やモデルチェンジが行われることを前提として、数年間に渡る製品群全体としての循環性を高めるためには、製品の企画時点で構成部品・モジュールの再使用性を検討するとともに、その製品が循環するプロセスを明確にする必要がある。そこで、製品モデルを用いて複数世代の製品に対する部品・モジュールの再使用性を評価することと、循環プロセス間のフローを表現するライフサイクルモデルを用いて循環性を評価することを統合したシステムを提案し、今回は製品モデル・ライフサイクルモデルそれぞれについてプロトタイプを作成した。
コンピュータマネキンを用いた分解作業時間推定システム(高田): 部品再使用のためのコストの多くは労務費であり、そのほとんどは製品の寿命終了時点における分解・分別作業のコストになっている。したがって、分解作業時間を短縮することは、部品再使用を経済的に成り立たせるための重要な要件と考えられる。このために、製品設計の段階で遵守すべき種々の設計指針が設けられている。しかし、個々の設計指針の定量的効果を評価する手段は、必ずしも一般的に与えられていない。そこで、個々の製品について、指定された分解作業を行ったときの作業時間を、製品モデルとコンピュータマネキンを利用して定量的に推定するシステムの構築を試みた。このため、複写機を例に、熟練作業者による分解作業のビデオ分析から、分解作業を構成する要素作業の把握と作業時間の計測を行った。
循環性を考慮したQFD(棟近): 製品品質の側面では、製品の循環性という観点を取り入れてQFD(Quality Function Deployment)を適用した場合、従来とどのような差異が生じるか、どのような問題点があるかについて複写機を題材として分析した。その結果、ユニット・部品展開を行う際にサブシステムの区切りをどのようにするか、すなわちモジュールをどの単位で構成するかが循環性を高めるために重要であり、従来の設計とは矛盾が生じる場合が多いことがわかった。