表題番号:1998B-524 日付:2002/02/25
研究課題離散事象並列シミュレーションにおける計算資源の高効率利用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 成田 誠之助
(連携研究者) 理工学部 教授 笠原 博徳
(連携研究者) 理工学部 助手 林 俊成
(連携研究者) メディアネットワークセンター 助手 根本 貴由
研究成果概要
 並列離散事象シミュレーションにおいて、その実行時間に影響を与える要素として、仮想時刻同期手法およびマッピング手法が挙げられる。本研究は、仮想時刻同期手法として従来の同期法を改良した改定同期法、マッピング手法として遺伝的アルゴリズムを用いた動的なマッピング手法を用い、シミュレーションの高速化を図ったものである。
従来の同期法は、保証時刻の計算において、各PEの先頭事象の生起時刻に最小遅延時間を付加し、全てのPEにおける最小値を求めてそれを保証時刻とするものであった。ここで、PEの先頭事象が他のPEに隣接していないノードであった場合、その事象から他のPEへのメッセージが発生することがないので、先頭事象の生起時刻に事象処理に要する時間の最小値を付加することで保証時刻を長く取り、同期回数の削減および同期待ちコストの削減を図った。
また、マッピング手法からのアプローチとして遺伝的アルゴリズムを用いた動的マッピング手法を用いた。これまでは、SA法、GA法、などを用いたマップ生成法などが提案されてきた。しかし、シミュレーションの進行に伴い、負荷の分布やメッセージの頻度などは変化するので、効果的なシミュレーションを行うためにはシミュレーションの状態に対し、マップを動的に更新する必要がある。本研究で用いた動的にマッピング手法は、シミュレーションの進行中にホストプロセッサがセルプロセッサから統計データを受信し、それを用いて新たなマップを作成する。その際、マップ生成のアルゴリズムをして遺伝的アルゴリズムを用いる。
これら2つの手法を用いることにより、並列離散事象シミュレーションの高速化を可能にした。