表題番号:1998B-514
日付:2002/02/25
研究課題アジア・ビジネスの国際化とグローバル・スタンダードの形成プロセスに関する制度化理論的研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 商学部 | 教授 | 江夏 健一 |
(連携研究者) | 商学部 | 教授 | 太田 正孝 |
(連携研究者) | 商学部 | 教授 | 川邊 信雄 |
(連携研究者) | 商学部 | 教授 | 坂野 友昭 |
(連携研究者) | 商学部 | 教授 | 恩蔵 直人 |
- 研究成果概要
- 本研究は、グローバル競争に直面しているASEAN現地企業が、日米欧の先発多国籍企業が保有するベスト・プラクティスをいかにベンチマークし、さらに組織学習していくかを、現地企業へのアンケート調査とインタビューを中心としたフィールド・リサーチを通して、制度化理論的に解明することにある。
98年度は、制度化理論および組織学習に関する内外の関連文献のサーベイを進めるとともに、質問票調査に向け、現地協力体制のインフラ作りに専念した。調査対象企業は最終的にSingapore現地企業に絞ることにしたが、その理由は1)ASEAN企業の中で最も競争力があるとともに、アジア通貨危機の悪影響が軽微であるため組織学習のサンプルとして最適、2)狭い地域に集中しているためサンプル処理が比較的容易、4)Singapore現地有力企業グループからの協力申し出があったからである。98年9月に江夏と太田が、Singapore最大の政府関連企業グループ、Temasek Groupを始めとする有力企業数社のトップとMeetingを持ち、調査の主旨を説明するとともに協力関係を構築した。この協力関係に基づき99年3月、川邊、太田が質問票作成のためのパイロット・インタビューを実施し、DBS (Development Bank of Singapore)、Singapore TelecommunicationsなどSingaporeを代表する10数社のトップが、グローバル競争ならびにSingapore企業の組織能力についてどのような認識を共有しているかを探った。
99年度は、申請時の代表者であった太田が急遽、99年3月末に在外研究員としてMIT, Sloanに赴いたためスケジュールが若干遅れたが、太田の研究パートナーで、制度化理論アプローチの世界的権威であるProfessor Eleanor Westneyの貴重なアドバイスのもと、パイロット・インタビューの詳細な内容分析を9月までに完了した。この分析結果に基づき、10月から12月にかけて質問票調査の最終デザイン段階に入り、1月に最終原稿が完成した。当初、質問表は日本語と英語の2種類を用意する予定でいたが、Singapore現地企業のみを対象としたため英語に一本化した。2月に現地の有力協力企業であるTimes Publishing Groupに印刷および発送業務を代行してもらい、約1600社の現地企業に郵送した。
以上のとおり、若干スケジュールの遅れはあったものの、本特定課題研究期間の2年間に達成すべき課題はすべて満足の行く形で終えることができた。すでに回収できた約150通をさらに上乗せするために現在、現地協力企業の支援を受けて第2次回収作業を進めているが、目標である200社からの有効回答を達成することは十分可能であり、Singapore現地企業のトップマネジメントへのアンケート調査としては画期的なものとなることは間違いない。