表題番号:1998A-889 日付:2002/02/25
研究課題足部形態・機能と下肢に発生する整形外科疾患との関連性
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 助教授 鳥居 俊
研究成果概要
 足部の機能と形態は下肢の外傷、特にスポーツ障害の発生に関連すると考えられている。そこで、(1)特別な足部の外傷や変形のない一般成人の足部形態(足長と足幅)と足部機能(可動域と母趾屈曲筋力)を計測し、足部形態と機能の左右差を検討した。この結果、足長・足幅は右足で大きく筋力も右足で大きかったが、可動域は左足で大きかった。即ち、右利きの人間では一般に右足は形態的に大きくレバーアームとして有効に働き、母趾の蹴り出しの筋力も大きく、主動作足であると考えられる。一方、左足は可動域が大きく右足が動作を行う際の支持脚として機能していると考えられる。
 次に、(2)スポーツ選手を対象に同様の計測を行い、種目動作やスポーツ障害との関連性を検討することとした。陸上競技男子長距離選手を対象とした計測では、一般人にみられた形態と可動域の左右差は平均値の上では消失していたが、母趾筋力は有意に右足で大きかった。長距離選手では左右の足をほぼ均等に使用することから、一般人に見られた形態の左右差が消失していると解釈したが、母趾筋力の左右差の残存については説明できる原因が見いだせない。障害との関連では外反母趾を有する選手では母趾筋力が低く、第2趾が母趾より長いギリシア形の足が多かった。他の障害との関連性については現在分析中である。
(1)の内容については1999年3月の第16回神奈川理学療法士学会にて報告した。
 (2)の内容については1999年9月の第54回日本体力医学会にて報告の予定である。