表題番号:1998A-837 日付:2002/02/25
研究課題日本の企業金融とコーポレート・ガバナンス:高度成長期から現在まで
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 専任講師 広田 真一
研究成果概要
 本研究では、日本の企業金融、特に銀行・企業関係が、企業のパフォーマンスにいかなる影響を与えるのかを実証的に考察した。そのため、日本の大企業のデータを高度成長期から現在にわたって(1960年代~1990年代まで)収集し、それをもとに実証分析を行ったところ、次のような結論が得られた。まず第1に、企業と銀行の融資関係が強くなるにつれて企業の生産性は上昇する。第2に、企業と銀行の持株関係は、逆に企業の生産性を弱める効果をもつ。
 近年の研究では、テークオーバーのほとんど起こらない日本の金融市場においては、企業と銀行の関係はコーポレートガバナンスのメカニズムとして重要であるとの認識が高まっている。こうした中で、本研究の上記の結論は、過去30年間の日本の金融市場においては、銀行融資のみが企業をモニターし規律づける役割をもっていたことを示唆している。
 これらの研究の成果は、1998年7月19-22日に東京で行われた国際コンファレンス NPA/APFA FIRST JOINT INTERNATIONAL CONFERENCE で報告された。そして、その後、データを拡充してさらに充実した考察を行っている。