表題番号:1998A-823 日付:2002/02/25
研究課題p進等質空間の球関数
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育学部 教授 広中 由美子
研究成果概要
-進体上定義された代数群の等質空間-有理点の全体をとし、-有理点全体とその極大コンパクト部分群に関するヘッケ環)を考える。ヘッケ環に関する同時固有関数となる上の関数は、上の球関数と呼ばれ、整数論的にも表現論的にも興味深い研究対象である。
の放物部分群に関する相対不変式となる上の正則関数から上の球関数の典型例が構成できる。さらに、一定の仮定の下に、の球関数の明示式を、その関数等式と群上の球関数の明示式の双方を組み合わせる事で与える事ができている。それは、たとえば整数論的に興味深い対象である対称形式やエルミート形式の空間に適用できる。これらの空間では、球関数と、表現の局所密度とは密接な関係を持ち、後者を求めることは整数論の古典的な問題である。
不分岐エルミート行列の空間では、球関数の明示式を与え、-不変でコンパクトな台の上の関数のなす空間)のヘッケ環加群としての構造や、すべての球関数のパラメトライズもなされた。また、局所密度についても明示式が得られた。
対称形式の場合も次数が少ない場合には球関数の明示式を得ることができるが、一般には困難である。分岐エルミート形式の場合も球関数、局所密度とも残された部分は多い。
一方、局所密度については、指標和(ガウス和)を用いた別のアプローチも可能である。佐藤文広氏との共同研究により、こちらの方法で対称形式の局所密度の明示式を得ることができた。これを球関数の理論に逆に応用できないかどうかは今後の課題である。