表題番号:1998A-804 日付:2002/02/25
研究課題持続的な経済発展と環境破壊防止の両立性に関するゲーム理論的分析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 教授 船木 由喜彦
研究成果概要
本研究では、上記研究課題に関して(1)理論的に構築したモデルにおいてゲーム理論による分析を行い、(2)そのモデルで得られた理論的解決策の有効性を検証するための経済学実験をおこなった。
(1)の研究については国際会議(社会的選択と厚生経済学国際学会、1998年、ブリティッシュ・コロンビア大学)、国際研究集会(ゲーム理論とその応用スペイン集会、1998年、バルセロナ大学)、国内の研究集会(数理経済学研究センター研究集会、1998年、数理解析研究所)、国内の研究会(多数)において報告された。これらの研究集会における貴重なコメントや意見交換は、本研究の進展に非常に有用であった。研究の成果は論文 "The Core of an Economy with a Common Pool Resource : A Partition Function Form Approach" にまとめられている。
(2)上記の理論モデルにおいて理論的に導出された環境破壊防止のメカニズムについて、経済学実験を行った。この実験の結果は論文「協力の形成に関する経済学実験」にまとめられている。しかしながら、この実験は、環境問題を明示的に被験者に提示した実験ではなく、個人間での協力の形成をいかに達成させるかというより広範囲な文脈における実験である。また、その解決を目的とするあくまでも一つのメカニズムの検証にすぎない。環境問題について、より広範な結論を得るためには、さらに大規模な経済学実験が今後、必要である。