表題番号:1998A-802 日付:2002/02/25
研究課題近代に本における政治・社会用語の歴史的変容―国際関係と国際比較の角度から―
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 教授 平野 健一郎
研究成果概要
この特定課題研究では、欧米から近代日本に導入された政治用語、社会用語を、「概念史」(Begriffsgeschichte)の方法により改めて精密に考察し、その歴史的変容について確かな理解を得ることを目的とした。近年ドイツで大きな成果を挙げている「概念史」は、辞書学の緻密な方法と社会史の方法とにより、一つの概念が社会によってどのように意味を変えられながら用いられたかを解明する方法として注目されている。ドイツの研究グループの研究成果は、三つの辞書シリーズの形で刊行中であるが、その内、早稲田の図書館にまだ購入されていなかった<U>Handbuch politisch-sozialer Grundbegriffe in Frankreich</U>を本研究費で購入した。
 次に、三つの辞書シリーズから「国家」「主権」「権力」「自治」「文化」など、近代日本にも関わりの深い概念を選んで、その意味内容と、Begriffsgeschichteの方法とを学ぶべく、5名の若手研究者と共に「Begriffsgeschichte研究会」を立ち上げ、まず、Begriffsgeschichteの方法を紹介・検討しているMelvin Richter, <U>The History of Political and Social Concepts: A Critical Introduction</U>, Oxford UP, 1995の輪読を開始した。
 第三に、韓国で同様の研究意図を有するソウル大学政治外交学科の河英善教授のグループと、「概念史」の方法を用いて日本と韓国の国際政治概念を比較史的、関係史的に共同研究を行う準備として、1999年2月に早稲田大学で日韓共同セミナーを開催した。概念史研究の共同作業の実質的な出発となったこのセミナーの記録は報告書にまとめられている。