表題番号:1998A-677 日付:2002/02/25
研究課題インターネットを利用した仮想教室システム構築技術の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際情報通信研究センター 教授 寺島 信義
研究成果概要
 本研究では、先進的な映像合成表示技術を駆使して、仮想的な教室空間を構築し情報通信ネットワークによりセンターにいる教師と遠隔地にいる学生があたかも一堂に会している感覚で、意思疎通を図りつつ受講・討論・共同作業を行う『インターネットアクセス型仮想教室システムHyperClassの研究』を進めている、仮想教室内では、教師と学生がアバターという形態で授業に参加して討論したり共同作業を行うことができる。この研究ではセンターと遠隔地1地点をインターネットで接続したHyperClassのプロトタイプシステムを構築した、このHyperClassには任意の3Dオブジェクト1個をとり込んで手振りやマウスでオブジェクトを操作できる。オブジェクトとしては、東京芸大が所蔵する美術品や工芸品を3Dスキャナで計測して計算機にとり込んだ。このシステムを利用して早稲田大学とニュージランドのビクトリア大学をインターネットで接続してHyperClassのモデル実験を行った。現在のところインターネットは低速な回線ではあるが、双方からのオブジェクト操作はリアルタイムに行う事が出来ることを確認出来た。これはHyperClassを構築するに必要な教室や教材となる3Dオブジェクトを授業が始まる前にあらかじめ対地に送信しておき、授業中は手の動きやオブジェクトの動きのみを送ることで授業中にやりとりされる情報の圧縮を行ったことによる。対象の教材は東京芸大が所蔵する日本古来の伝統的な作品ばかりでこれがビクトリア大学の学生が操作できることでビクトリア大学の学生に新鮮な印象を与えるとともに、ビクトリア大学側でもニュージーランドの工芸品をHyperClassに取り込みたいという要望が出された。遠隔講義における最大の課題は、言語、時差と文化の問題と言われ、文化の面ではHyperClassが重要な役割を果たすことが実証された。今後は、インターネットで接続できる地点の数を更にふやし、技術的側面、コンテンツ面から検討を進める予定である。