表題番号:1998A-675 日付:2002/02/25
研究課題人口モデルに現れる連立積分方程式及び第2種積分方程式の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 柳谷 晃
研究成果概要
この論文は主に性交渉によって起こる、HIV感染の数学的モデルに関するものである。しかしながらその基本的な考え方は、性的感染症に対しても応用可能なものである。最近、また淋病やグラミジアなどの性的感染症が問題になっている。この大きな原因は、若年層の性病に関する知識の欠如、および精神的な幼さによる正常な男女交際の能力欠如である。これからは学生に対する、この方面のケアも高等教育の場で必要な時代になる可能性を、十分に予測させる現実がある。この立場からもHIV感染の数学的モデルの研究は、その重要性が注目されている。
 基本となるモデルは次の連立一階偏微分方程式である。
DX(a,t)= -[r(a,t)+k(a)]X
DY(a,t)= r(a,t)X - [v+k(a)]Y
DN(a,t)= - k(a)N -vY
 この偏微分方程式を特性曲線にそって解くことにより積分方程式を導く。r(a,t)の性質によりこの積分方程式が線型になる場合と非線型になる場合に別れる。線型の場合はロジスティック曲線を含む函数を扱うことによりかなり詳しい結果を得ることができるが、非線型の積分方程式の場合は解の性質を研究すること自体が非常に困難である。しかし正値解の存在までは証明することができた。今後周期解の存在などに研究を発展させて行く予定である。