表題番号:1998A-659 日付:2002/02/25
研究課題言語情報伝達のための口形の変化のモデルによる合成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 教授 比企 静雄
研究成果概要
 読唇だけでなく、手話による対話や音声による対話で各種の言語的な情報を伝える口の形の変化もすべて表記できるような、多目的の記号体系を、口形の変化についての解剖的構造や神経制御の制約と、視覚的な識別の可能性との両面を考慮して作成した。
 唇の3次元的な形状を指定して、再合成できるようにするためには、それらを、開口部の上下方向の高さと、側方向の幅と、中央と隅の前後方向の奥行きとの、4種類の尺度で記述した。次に、そのような尺度で構成された3次元的な空間を、視覚的な識別が可能な領域に分割した。
 音声に伴う唇の形状の変化を表記の枠組みに使い、日本語の母音の「エ」を基準状態としているが、伝統的な手話で構文的な情報を補う口形の変化や、音声による対話で意味的な情報を強調する口形の変化には、それぞれの尺度について、1段階広い領域を設けてある。
 この表記記号体系によって指定された口形の変化を、上下の唇の内側と外側の3次元的な輪郭の変化に関与するパラメータを組み込んだモデルを計算機シュミレーションして、画像として任意の視点から表示することができる。