表題番号:1998A-641 日付:2002/02/25
研究課題薫康の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学部 教授 島 善高
研究成果概要
 本研究は、中国法の近代化に尽力し、戦前期にたびたび来日して日中親善に尽力した薫康氏の事績を明らかにすることを目的とし、更に薫康氏が名誉教授を務めた国立新民学院における法学教育の実態、そして王克敏政権下の法律諸制度の実態を究明することをも目的とした。そのために1998年9月に北京市档案館、中国社会科学院近代史研究所、長春大学で史料収集をし、また上海の復旦大学の研究者に話を聞き、更に上海社会科学院における学会で報告をして上海の研究者と意見交換をした。その結果、著者が行っている研究については中国においても未だ手がつけられていず、今後とも協力をして頂けることになった。肝心の薫康氏の事績については、彼が未だ「漢奸」として扱われているところから、北京市档案館でも関連史料を閲覧することが叶わなかったけれども、国立新民学院で出していた機関紙『国立新民学院季刊』に数本の論文が掲載されていることがわかり、ま台湾におけるこの方面の研究の第一人者である国立政治大学法律系副教授・台湾大学副教授黄源盛氏から薫康氏の『鋪底権要論』、『民法親族継承両編熊脩正案』の存在を教えられるなど、ある程度の成果があった。その研究成果の一端は拙稿「中国における瀧川政次郎先生」(『古代文化』第51巻第2号、平成11年2月)を参照されたい。