表題番号:1998A-624 日付:2002/02/25
研究課題デジタル信号処理用FPGAおよび専用CADツールの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 柳澤 政生
研究成果概要
デジタル信号処理を目的としたFPGAを用いた回路設計は、以下に示す4つの段階的な設計工程に基づいて行われている。本研究では、この4つの各設計工程にFPGAボードの製作を加えた、5つの研究テーマに関して研究を行った。(1) ハードウェア/ソフトウェア協調合成では、従来、提案していた1種類のレジスタの使用を前提としたアルゴリズムを、2種類のレジスタを持った協調合成アルゴリズムに拡張するとともに、そのための並列化コンパイラを提案・構築した。これにより、演算精度を保った状態で、レイアウト面積の削減を実現することを示した。(2) 高位合成では、データフローグラフ列挙アルゴリズム、高速スケジューリング・アルゴリズム、ならびに、最適解を保証したリソースバインディングアルゴリズムを提案した。(3) 論理合成では、深さの制約値dが与えられたときに、論理の深さをdに抑え、かつ、論理ブロック数を最小化する発見的なテクノロジーマッピング・アルゴリズムを構築した。(4) レイアウトでは、消費電力の低減を目的とした配置と概略配線アルゴリズムし、配線混雑度および実行時間は10%程度増加するが、約10%の消費電力を削減可能であることを示した。また、FPGAのマクロブロックを考慮して配置と概略配線を行うアルゴリズムの構築を行い、この有効性を示した。さらに、レイアウト再構成手法を提案し、追加されるLUTの割合が20%以下ならば、提案手法が有効でることを示した。(5) FPGAボードの製作では、ディジタル信号処理アプリケーションの高速実行を目的とした動的再構成可能システムであるマルチFPGAボードを考案し、製作を行った。応用例として、JPEGエンコーダを実装した結果、計算機によるソフトウェア処理に比較して2倍の処理速度を達成した。この研究成果は日本工業新聞の取材を受け、新聞に掲載された。以上の研究成果により、デジタル信号処理用FPGAのためのCADツールの開発およびFPGAボードの製作ができ、当初の研究の目的をほぼ、はたすことができた。