表題番号:1998A-614 日付:2002/02/25
研究課題音のサブリミナル効果確認のための基礎研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 菅野 由弘
研究成果概要
 音楽や映像に、表面上は認識できない情報を織り込んで、視聴者にメッセージを送る「サブリミナル効果」が存在するとされる情報が流布し始め、商品化され、あるいは放送されたりし始めている。それらは、可成りの市場を持ち、実際に収益を上げている会社も見られる。が、実際に効果があるのか、本当にサブリミナル効果が認識されるのかどうかに関しては、ほとんど研究されていないのが現状であるので、98年度より、その調査を開始した。調査方法は、まず、サブリミナルメッセージを織り込んだ音楽を作成、そのメッセージが実際に伝わるかどうかを、被験者にサブリミナルメッセージが入った音楽と、入っていない音楽(音楽そのものは全くおなじ曲を使用)を聞かせ、アンケート調査を実施する方法で確かめようとした。現在まで実施した500人ほどの被験者による調査では、本当の「サブリミナル効果」なのか、暗示による心理的効果なのか判別しがたい結果となっている。また、本研究を進める内に、「サブリミナル効果」よりも、音楽そのものの表現が人の心理に与える影響の大きさの方がクローズアップされる結果となっている。
 このような結果から今後は、音楽の「サブリミナル効果」と「心理的影響」の両面からその効果を確かめる必要が出てきた。「サブリミナル効果」そのものの信憑性を問うべく始められた研究だが、これに「心理的影響」調査を加えることにより、さらに実体に迫ることが出来るものと思われる。肯定にせよ否定にせよ、より精密な調査が必要とされる段階であり、まだ結果と言われる程のものは得られていない。