表題番号:1998A-612 日付:2002/02/25
研究課題音源領域を考慮した遠心送風機翼通過周波数騒音の能動制御に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 太田 有
研究成果概要
遠心送風機発生騒音の主要成分である翼通過周波数(BPF)に関して、音源であると考えられている渦形室舌部近傍壁面上での圧力変動と、外部騒音圧変動との間に相互相関解析を施すことにより、有効な音源領域の確定を行った。その結果、BPF1次成分に関しては、その有効音源領域が舌部頂点近傍のごく限られた領域内に存在し、しかもその領域は、送風機の運転状態(風量や回転数の変化)に依らずほぼ一定であるのに対し、2次成分の有効音源領域は運転条件によって大きく異なることが明らかとなった。2次成分の主たる音源領域は、1次成分よりも渦形室壁面上のやや下流部分に分布していることから、これら特性の違いを考慮した騒音能動制御法の開発を行った。まず、従来より殆ど報告例のない2次および3次BPF成分に関しては、それらの有効音源領域壁面に対して直接圧電式振動子により逆位相の振幅を付加することで、広帯域騒音の音圧レベルの値まで20dB以上も減衰し、騒音スペクトル中の離散成分は完全に消滅させることが可能となった。一方、1次成分に関しては、既に、翼枚数や伝播経路での周波数特性を考慮した簡便な騒音低減化法を提案済ではあるが、本方式を適用することで、送風機運転状態や幾何形状を変更することなく、数dBの減音効果が得られることがわかった。2次成分と比して減音効果が小さい原因に関しては現在調査中であるが、1次成分の音源振幅が十分に大きいために、圧電素子による加振では限界があるものと考えている。さらに、音源領域の違いを考慮して、1次および2次BPF成分の音源領域を独立に制御することで、同時低減化を指向した。その結果、両成分の音圧レベルは著しく減少すると共に、全体の総騒音圧レベルも著しく減少する傾向を示したが、3次BPF成分に加振による影響が若干現れ、数dBの増大傾向が認められた。この原因に関しては、現在調査中である。