表題番号:1998A-605 日付:2002/02/25
研究課題メディアネットワークにおける高圧縮符号化技術に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 松嶋 敏泰
研究成果概要
ネットワーク情報化社会において、情報の圧縮技術は欠く事のできない基盤技術となりつつある。情報圧縮符号化の領域は大別してテキストデータ等の圧縮に利用されている無歪(可逆)圧縮と音声や画像の圧縮に利用されている有歪(非可逆)圧縮の2つがある。
前者では Ziv-Lempel符号を用いた符号が実用化されており、この符号は漸近的に理論的圧縮限界であるエントロピーまで圧縮可能な優れた符号である。しかし、その収束の速さは遅く、最適でないことが知られている。1%でも圧縮率を上げたいという情報化時代のニーズから考えると、新たな符号の提案、実用化が待たれていたが、近年、情報理論の分野でユニヴァーサル無歪圧縮の収束の速さの理論的限界とそれを達成するベイズ符号が提案された。また、木構造を有効に用いたこの符号のアルゴリズムも提案され、理論ばかりでなく実用化についても可能性が開けつつある。研究者たちも理論と符号化アルゴリズム両面でほとんど同時期に同様の成果を発表し、その後もこの研究を発展させ、理論と応用の両面で幾つかの成果を得た。
 また、このベイズ的アプローチは統計的推論、モデル選択や学習理論の面への応用も可能で、それらの分野においても新たなアルゴリズム提案や性能の漸近的評価等幾つかの成果を得ることが出来た。