表題番号:1998A-592 日付:2002/02/25
研究課題設備ライフサイクル管理のためのMP情報システム
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 髙田 祥三
研究成果概要
 設備の効率的運用のためには、開発・設計部門と運用部門の密接な連携による設備ライフサイクル全体にわたる保全活動が不可欠である。とりわけ、設備の開発・設計段階において運用段階における設備の信頼性や保全性を確保する保全予防(MP:Maintenance Prevention)活動が重要であり、そのためには、既存の設備から得られる諸情報(MP情報)を開発・設計段階へ適切にフィードバックする必要がある。
 MP情報の収集と活用に関する実態調査を行った結果によると、収集に関しては、保全員により表現に個人差があったり、必要な情報が記述されていないなどの問題がある。また、その活用に関しても、収集された不具合事例が、開発・設計部門への要望事項(フィードバック情報)の作成に十分に参照されず、むしろ保全員の記憶に依存している面が強いという問題がある。
 本研究では、これらの問題点を解決するために、MP情報のうち、既存の設備の運用段階で発生した劣化、故障などの不具合に関する情報の収集と活用を計算機により支援するシステムを構築した。まず、不具合事象の表現手法として、疲労、摩耗といった基本的事象とそれを生起させる要因とを組合わせた劣化・故障メカニズムを考え、不具合事象をこれらのメカニズムの連鎖として記述する方法を提案した。一方、それらの事象が生起する箇所については、設備を構成する要素の特性とそれらの間の組立構造を記述した設備モデルを用いて表現する方法を提案した。これらの方法に基づき、不具合事象入力支援システムを試作した。このシステムでは、入力形式や記述に必要な用語がコンピュータにより示されるので、不具合事象を、現象とそれが発生した設備箇所の両面から統一的に表現することができる。
 また、このシステムで蓄積された不具合事例を概念階層を用いて汎化し、そこから、共通する因果関係を属性指向アルゴリズムを応用して抽出するフィードバック情報生成システムも試作した。さらに、これらのシステムを、MP情報管理システムとして統合し、機械加工工場の旋削加工機に適用しその有効性を確認した。