表題番号:1998A-590 日付:2002/02/25
研究課題Microfluidicsを応用した微小流体制御デバイスの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 庄子 習一
研究成果概要
マイクロマシーニング技術により作られる微小流路内で慣性力に比べ、粘性力の影響が大きくなるため流れは層流となる。このような流れはMicrofluidicsと呼ばれ化学分析システムなど、流体システムのマイクロ化に重要な意味を持つ。本研究では対象となる液体と流路の材料との界面状態を考慮し、“Microfluidics”の特質を十分生かした微小流体制御デバイスの研究を行った。まず、シリコン、ガラスなどの無機材料、ポリマー材料など表面性質や形状の異なる微小流路を作成し、全血の流れを観察した。その結果、表面化学基の極端に少ないパリレン膜を表面とし、流路の曲がりに曲率を持たせることが血栓や血液の凝固を防ぐ上で効果があることが確かめられた。また、血液の分析を目的としたマイクロ液体システム実現のため、空気圧で駆動するニューマチック型アクチュエータ部分を分離できる構造を持つ実用的なものである。次に、化学分析システムとして必要な要素である混合器、反応器集積化したマイクロフローセルを“Microfluidics”の特性を利用し設計、試作、評価した。特に2種類の液体を混合する機構では効率化を計るために多数のマイクロノズルから試薬が噴出する構造を採用し、その製作にシリコンの陽極化成によるマクロポーラスシリコン形成技術を応用した。また、SAWデバイスによる超音波振動を混合に利用することについても検討した。反応部分はp-n接合温度センサと金属薄膜マイクロヒータを一体化したシリコンマイクロセルを形成し、精密な温度制御を実現した。これらの要素をガラス基板上に配置し、互いの熱絶縁を実現するとともに流路をできる限り一定の断面積となるようにしたマイクロフローセルを製作し、効率の良い混合・反応が行なえることを確かめた。