表題番号:1998A-589 日付:2002/02/25
研究課題Navier-Stokes方程式の解の安定性の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 柴田 良弘
研究成果概要
(1)3次元圧縮性粘性流体中を運動する物体の安定性を、極限状態が定数である場合に考えた。この場合の解の存在、一意性、またL2枠での解の安定性は村松―西田により10年以上前に示されていた。また、初期値がL2空間に属しているときの解の各点での評価はDeckelnikにより示されていた。しかしこの評価は最良ではなかった。私は九州工科大学の小林氏との共同研究により、各点ごとの解の最良な評価を行った。その評価はdiffusion problemのものと結果としては、同じである。
(2) (1)での研究のなかで、質量項は双曲型方程式を本質的に満たす。こうして、全体としていわゆるdiffusion waveといわれる現象を数学的にとらえる方法を発見した。さらにそれを明確にするために、viscoelastic equationに対するCauchy問題を考えその解のLL/I>1評価を行った。この証明中に、diffusion wave processを数学的にとらえる新しい方法を開発した。これは、双曲型と放物型の効果がいりまじった多くの方程式の解析に新しい視点と解析の方法を与えるものである。
(3) 解の安定性を研究するのにあたり、線形化した問題の解のdecay estimateを行うことが問題となる。解はFourier変換をかいして表記されることが多い。そこで、関数とそのFourier変換像との関係を厳密に調べることは大事である。その観点にたち、古典的なBochner定理の拡張を行い、その応用としてStokes semigroupのfractional derivativeのdecay estimateを行った。結果自体は知られているものもあるが、照明方法は新しく、従来のものに比して簡単、明瞭であり、多くの新しい応用が期待できる。以上が特定課題研究助成費を用いて行った1998年度の研究の概要である。