表題番号:1998A-581 日付:2002/02/25
研究課題浮選による汎用プラスチック類の相互分離
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 大和田 秀二
研究成果概要
 容器包装リサイクル法の成立にともない、近年特に注目されているPETとPVCの分離についてその基礎研究を行った。表面の水に対するぬれ性の差を利用する浮選法を両者の相互分離に適用してその可能性を探った。また、基礎的性質の異なる各種湿潤剤を添加してプラスチックの浮選挙動を比較し、それら湿潤剤のプラスチック表面への吸着機構を解明すべく検討を行った。得られた結果の概要を以下に示す。
1)疎水基長さの異なる9種類の陽イオン性および陰イオン性湿潤剤を添加して浮選を行った結果、大凡の傾向として、疎水基長さが長くなるほどプラスチック表面の湿潤化が促進されることが分かり、湿潤剤の吸着には疎水性相互作用が支配的に働くことが確認された。
2)プラスチック表面は、通常、水中で負に帯電することが知られているが、同じ疎水基長さを持つ湿潤剤では、むしろ陰イオン性のものがその湿潤効果が高かった。これは、プラスチック表面へ吸着する湿潤剤の単なる量でなく、その表面での配向性の重要性を物語るものであり、陰イオン性湿潤剤では極性基のプラスチック表面との電気的な反発力は吸着の配向性の向上につながるものと解釈された。
3)PET、PVCともに単独の浮選結果であるが、湿潤剤として、疎水基長さ8~12のアミン塩酸塩、同10~12のスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、およびポリビニルピロリドンを用いた場合に両者の相互分離の可能性が示された。
4)今回の浮選試験では、いずれの場合もPVCが選択的に湿潤化・浮選抑制される傾向を示した。PVCはPET中に不純物として混入することが予想されるものであるが、量的にはPETに比べて少なく、湿潤剤がそのPVCに対して選択的に作用することは浮選操業における試薬量節減の上からも合理的と判断された。