表題番号:1998A-577 日付:2002/02/25
研究課題多モード干渉型高機能光スイッチングデバイスに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 宇髙 勝之
研究成果概要
(1)多モード干渉導波路型光スイッチ
 多機能光スイッチングデバイスとして本研究室で提案した多モード干渉導波路型光スイッチ(Multi-mode Interference Photonic Switch : MIPS)において、本研究では導波路のどの部分を変調するかに応じて2種類のMIPS構造について、高性能化並びに高機能化の観点から理論的・実験的に検討した。第1は導波路の中央部分の屈折率を低下させるもので、広角有限差分ビーム伝搬法ならびに有限差分時間領域法により解析を行った結果、550μm程度のコンパクトな素子長で1%程度の屈折率変化により-20dB以下の低クロストーク特性や2dB以下の低挿入損失、50nm以上の広い偏光無依存波長域などの優れた特性が期待できることがわかった。また、実際にデバイスを作製し、実験的にも基本的なスイッチング特性を達成した。第2は、導波路の適当な位置の屈折率を変化させることにより3ポート以上の構造でも、任意のポートから任意の出力を得る超多機能構造であり、2×2構造においてはスイッチングと分配機能、さらに1×3構造においては任意のポートに種々の組み合わせで出力が可能という、従来では少なくとも2段構成が必要であった多ポートスイッチングを1チップで達成できるという優れた機能が実現可能なことを明らかにした。
(2)多モード干渉活性導波路型波長変換素子
 多モード干渉導波路は、2×2構造とするとコンパクトでありかつそれぞれ反対方向からの光入力の分離性が良いという特徴を有しており、それを活性導波路として相互利得変調効果を利用することにより、付加的な光フィルタなどが不要な構造の簡易な波長変換素子(Multi-mode Interference Wavelength Converter : MIWC)が実現可能であると考えた。活性領域と入出力アクセス導波路間の段差部で過剰な損失の原因となる不整のない良好なデバイス構造を得るための作製プロセス条件を考案した。その結果、波長変換動作に必要な相互利得変調特性を多モード干渉活性導波路で実験的に確認することができた。