表題番号:1998A-573 日付:2005/03/23
研究課題層状貯留層の浸透率および岩相解析に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 在原 典男
研究成果概要
 実油田で得られたコアデータおよび検層データを用いて、ニューラルネットワークによる岩相予測、およびハイドローリックフローユニット(HU)法による浸透率予測を行った。岩相予測では、コアサンプルによる岩相データを教師値とし検層と深度データを入力値として、ブラインドテストを実施し、手法の有効性を確認した。使用可能な全検層種目を入力として用いることにより高い予測精度が得られることを確認した。学習データは検層データ間の相関性の解釈等による岩相解釈に基づいて、特徴的なデータを抽出して適用するのがよい。本研究では、密度検層と中性子検層のクロスプロット、およびガンマ線検層と、KEV、THEV、UEVの濃度を示すガンマ線スペクトル検層の検層データピーク値を考慮したサンプリング法を適用した。クロスプロットによるサンプリングでは、選定領域を狭めすぎても予測精度は改善されない。地質学および統計学の観点から、さらにサンプリング法を検討することが必要である。
 HU法による浸透率予測では、コアデータおよび検層データを用いて、同じ流動特性を示すHUに分類し、コアデータのない坑井の浸透率を検層データから求めた孔隙率により予測した。従って、HU法による浸透率予測の精度は、HUの推定と検層解析による孔隙率解釈の精度に大きく影響される。HUの推定は、コアデータによるHUと検層データの相関性を記述するトレーニングデータベースを作成し、それに基づいてコアデータを持たない坑井におけるHUを、検層データにベイズの定理を適用して求めるもので、トレーニングデータベースの精度が特に重要である。本研究では、トレーニングデータベースに用いる検層データをランク付けし、データベースの各セルに同数個のデータを割り当てる手法が非常に有効であることを確認した。