表題番号:1998A-547 日付:2002/02/25
研究課題ダイアモンド相超高圧変成岩類における炭酸塩鉱物の安定関係の解明―カザフ共和国コチェタフ地域を例として
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育学部 教授 小笠原 義秀
研究成果概要
 大陸衝突帯に分布する超高圧変成帯は、大陸成長史の解明に寄与するだけでなく、深さ数百km付近までの地球内部物質循環過程を解明するうえでも、極めて重要な意味をもつ。特に、ダイアモンドを含む超高圧変成岩類は、より深部の情報をもつことからその研究の重要性が指摘されている。世界の数カ所から含ダイアモンド超高圧変成岩の報告があるが、このうちカザフ共和国コチェタフの岩石は、変成炭酸塩岩におけるダイアモンドの共生やダイアモンド含有量の高さ、7Gpa(深さ約200km)にも達する極めて高い圧力を示唆する証拠などから(Okamoto, 19997)などから、最も注目を集める地域である。本研究では、超高圧変成炭酸塩岩が算出するKumdy-kol 地域に焦点を当て、2種の変成炭酸塩岩、ダイアモンドを含むdolomite marble とダイアモンドを含まないdolomitic marble の記載岩石学と両岩石の生成環境の推定を行った。その結果、2種の炭酸塩岩について下記のことが明らか人された。A.ダイアモンドを含むdolomite marble :①変成ピーク時の鉱物組み合わせ:aragonite + dolomite + garnet + diopside + diamond.②diopside 中に微量のK〈SUB〉2〈/SUB〉O が含まれ、K-feldspar が連晶する。③マイクロダイヤモンドはおもにgarnet 中に含まれ、その他 diopside, phlogopite にわずかに含まれる。④2枚の薄片中に約750粒子のマイクロダイアモンドを見出した。B.ダイアモンドを含まない dolomitic marble:①変成ピーク時の鉱物組み合わせ: aragonite + dolomite +garnet +clinohumite + forsterite + diopside.②Mg-calcite の MgCO〈SUB〉3〈/SUB〉の含有量は最高21.7mol%を得た。これは減圧ステージで aragonite + dolomite から形成されたと解釈される。③garnet が減圧ステージで分解し diopside + spinel に変わっている。C.両炭酸塩岩の安定関係:①鉱物組み合わせの相違とダイアモンドの存在・欠如は両岩石のXCO〈SUB〉2〈/SUB〉の違いで説明可能である。②変成作用ピーク時の想定される圧力・温度条件は、圧力:4.2~7Gpa、温度:980~1250℃の範囲に限定される。