表題番号:1998A-517 日付:2006/12/27
研究課題日本語の不定語と量化表現
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 原田 康也
研究成果概要
本研究では、ある語彙的要素は,それに固有の<意味>とさまざまな文脈・言語外的状況との相互作用により,それぞれに応じた<解釈>を得るという立場から,日本語の不定語と量化表現の形式意味論的な取り扱いと、その語用論的解釈について研究を進めた。
 日本語の不定語と量化表現に関連して、日本語研究教育センター非常勤講師本多久美子氏とのここ数年にわたる協同作業により、関連するいくつかの項目に関して実際に文献に現れた大量の例文から問題点を抽出することができた。その中から、focusの問題とも関連して、自然言語の意味論的表示における変項の取り扱いが大きな課題として浮上してきた。
 今年度後半の新たな知見としては、語用論的に導入されると思われる scales of likelihood における局大、局小に注目することで、「取り立て助詞」(scalar particles)の解釈の問題について、統一的な見通しを得られるのではないかという着想が得られた点である。
 この問題についていくつかの発表を行うとともに、1999年7月に早稲田大学国際会議場で開催される ICCS99/JCSS99(国際認知科学会・日本認知科学会全国大会)に向けて投稿したが、現在この発表が受理され、その準備も含めてさらに検討を続けている。また、SRI International 研究言語学者 Jean MarkGawron 博士と1999年2月に打ち合わせを行い、日本語の不定語表現と英語の関連する構文との比較対照について議論した。これについては、現在 Gawron 博士が論文を取りまとめているので、若干の取りまとめが反映することと思われる。