表題番号:1998A-514 日付:2005/12/29
研究課題科学技術・環境と人権理論
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 戸波 江二
研究成果概要
現代の科学技術の発展にともなう環境・生命・健康に対する危険を踏まえて、科学技術の統制が許されるかどうか、どのような規制がなされるべきか、という問題について、人権論、とくに個人の尊厳の原理との関係に照らして、規制の根拠と限界について考察することが本課題研究の目的であった。
 まず、科学技術および環境保護の実情を比較法的観点から外国、とくにドイツ・ヨーロッパを素材に調査した。そして、それを参考にして、私の所属するドイツ憲法判例研究会とドイツ・フライブルグ大学を中心とするドイツ人公法学教授との間で行われている「科学技術・環境・人間」をテーマとする国際共同研究に参加した。同共同研究では、日本側事務責任者として全般的な運営に携わったほか、1998年4月3~5日の間、ドイツ側研究者8名を迎えて早稲田大学国際会議場会議室にて開催されたシンポジウムを企画・運営したほか、「科学技術の発展と人間の尊厳」のテーマで報告を行った。
 また、人権に関する理論的研究として、人権の意義、とくに「個人の尊厳」の原理の意義について考察し、それが個人の自己決定とどのように関係するかについて研究を深めた。そして、それに関連して、「郵便局職員での職員に対するネームプレート(胸章)着用の義務づけをめぐる憲法問題」について原告労働者側の要請に応じて東京高等裁判所に意見書を提出した。また、本学比較法研究所とヨーロッパ人権裁判所との間で1998年9月28日に早稲田大学国際会議場にて開催されたシンポジウムで「国際人権の保障における国際裁判所の役割」のテーマで報告した。
 現在、上記の日独シンポジウムの論文集を刊行準備中である。