表題番号:1998A-508 日付:2002/02/25
研究課題中国・合併企業にみる土地出資の評価と問題点
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政冶経済学部 教授 堀口 健治
研究成果概要
 中国の土地使用権は、①譲渡可能な払下土地使用権(有償払下げを経た国有地使用権)と、②現在の市街地のほとんどを占める割当方式による国有地使用権、そして③農地を主とする集団所有地の土地使用権の三種に大別できる。②、③は譲渡、賃貸、抵当に当てることができず、そのため土地出資として提供された②、③は精算時の競売にかけることもできない。しかし比較的早く中国に進出し、中国側から土地を現物出資でうけた日本側企業のなかに、多くのケースがそうだが②に該当する出資形態がかなりみられる。この点は未解決の問題として、その意味が認識されないまま、時間が経過している。一方、期限つきの土地使用権が最近時の合併会社の土地出資に多くみられるが、この評価額が第三者的に確定されるシステムは未だなく、多くはかなり高めに設定されているものと思われる。しかも①の場合、土地使用権なるものが提供されている場合と、中国側パートナーが土地使用権を持ち合併企業が土地使用料を払って使用するレンタルの権利のみにすぎない場合とがある。
 多くの訪問、聴取した合併企業でわかったことだが、事業がうまくいっている場合に問題はうかびあがらない。この問題を認識していず、指摘をうけて始めて検討する会社が多い。住宅政策を含めて中国の土地政策は変更も突然であることが多く、さらなる調査、分析が必要である。