表題番号:1998A-506 日付:2002/02/25
研究課題大川周明の思想史的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 教授 堀 真清
研究成果概要
1998年度の特定課題の成果としては、次のようなものがある。
(1) 「五・一五事件の農民たち―橘孝三郎と愛郷塾一派―」『早稲田政治経済学雑誌第335号、1998年、19―53頁。
(2) 「五・一五事件の公判・反響・その後の被告たち」同上、第336号、1998年、30―65頁。
(3) 「五・一五事件における西田税暗殺企図」『西南学院大学法学論集』法学部創設30周年記念号、第30巻第2・3合併号、1998年、307―366頁。
(4) 「侃堂丸山幹治」河原宏編『日本思想の地平と水脈』ぺりかん社、1998年、77―124頁。
 特に(1)、(2)ならびに(3)において,大川周明が五・一五事件に及ぼした思想的影響について論究した。これらの研究を通じて判明したことは、日本ファシズム論にとって大川の存在がいかに大きな位置を占めているかという点の再確認であり、同時に彼の思想と行動のさらに立ち入った解明の必要性である。今後、引き続き大川研究を行うつもりであり、いずれ研究成果をまとめたかたちで公判したいと思うが、いずれにせよ今回までの研究で彼の社会的前半生に関する具体的なイメージは得られた。ただ、当初予定していたモズレーなどとの比較研究という観点は後景に退き、遺憾な点も少なくない。なお、大川周明が積極的に関与した1931年の三月事件(未遂の軍部クーデタ)についても下記の論稿で再検討した。
(5) 堀真清編著『宇垣一成とその時代』新評論、1999年、所収、「三月事件」、55―122頁。
また、前年度の研究成果報告に漏らしてしまったが、日本人の歴史認識やアジアでの日本の進路にふれた次の論文でも大川の思想を現代的観点から考察し、大川を過去の人物にして歴史のかなたに減失してしまったものと片付けてしまうことのできない所以を論じた。
(6) A Few Comments on the "The Future of Asia and the Role of Japan: Challenges of the 21st Century to Youth." WASEDA POLITICAL STUDIES, XXIX, 1997, pp. 9-16.
(7) 「荒木時代と派閥」『早稲田政治経済学雑誌』第337号、1999年、109―144頁。