表題番号:1998A-504 日付:2002/02/25
研究課題粘性的双曲型保存側の方程式の非線型波の安定性(Ⅲ)
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 教授 西原 健二
研究成果概要
 今年度の研究課題のもと、まず、線型dampingを持つp-systemの、半直線上の初期値境界値問題の解の漸近挙動について考察した。Cauchy問題の解は、diffusion waveと呼ばれる波に漸近することが、Hsiao, Liu氏等の研究で初めて知られ、定数状態の周りでは、具体的なGreen関数の表示を用いた,報告者による最良の漸近のオーダーも得られている。本年の研究では、半空間における境界の効果を調べ、初期値境界値問題の解も、Cauchy問題と同様の漸近をすることが判った。定数状態の周りとなる場合は、やはりGreen関数の具体的表示を使って最良の漸近オーダーも得た。これは、T. Yang氏との共同研究としてまとめられ、J. Differential Equationsに掲載予定である。
 一方、Cauchy問題で、定数状態の周りとならない場合は、変数係数の熱方程式のGreen関数を扱う必要があり、最近、Liu氏によって導入された近似Green関数の方法を用いて、最良の漸近オーダーが得られた。これは、W. Wang、T. Yang氏との共著論文として投稿中である。
 更に、エントロピーも考慮したsystemに対して、定数状態の周りのCauchy問題の解の漸近挙動を考察し、西川雅堂氏との共著論文として作成準備中である。この場合は、空間変数のみに依る変数係数の熱方程式および線型強制項を持つ2階準線型波動方程式を考えねばならず、注意深いエネルギー評価と近似Green関数を組み合わせて、最適の漸近挙動を得た。